2012年3月29日木曜日

県予算&共産党の組み替え提案

   3月22日に閉会した県議会で、知事提案の2012年度県予算が成立しました。

 一般会計で2兆160億円(前年度比5・3%減)の規模で、国の予算を反映し、県は「きびしい財政見通し」だとして「第2次県行革プランを基本」に作成したとしています。

 予算の中身や特徴をかいつまんで紹介します。

 子ども医療費助成で実施を先送りしていた5万5千人の対象者削減(所得制限の強化)を今年7月に強行する予定です。
 注目される防災面では、国の「緊急防災・減災事業」で95億円計上されたり津波対策・学校の耐震化などがある一方で、住民や関係者から災害時の不安が出されている県立こども病院の人工島(ポートアイランド)移転のための設計が盛り込まれ、県立淡路病院の沿岸部移転工事を促進するものになっています。

 阪神・淡路大震災の被災者をUR借り上げ復興県営住宅から追い出す問題では、誘導策としての支援金の予算(525世帯分、2700万円)を組んですすめようとしています。
 自然再生エネルギーでは、昨年県制度を復活させた「住宅用太陽光発電設置費補助」の補助単価を半額(1kw当たり2万円から1万円)に減らしました。自然エネルギーを広げようとする県民の意欲に水を差すものです。ほかに融資や地熱・バイオマス、省エネなどの事業を予算化しています。

 県はパナソニックへの補助金12億6千万円の返還を求めることを発表しましたが、操業を続ける尼崎第2工場や他工場を含め、23億円を来年度もパナソニックにつぎ込もうとしています。
 また公共事業全体が減るなかで、「選択と集中をはかる」として、播磨臨海地域道路などの高規格道路の調査費、神戸空港への支援など、不要不急の事業は相変らずです。
 県教育委員会が多くの県民、市町長などの反対を押し切って強行した普通高校の5学区への再編には、説明会・パンフレットなどの予算が組まれています。
 関西広域連合を舞台に国の出先機関の丸ごと移管がすすめられ、県独自に市町への権限移譲もすすめる方針です。

 このように問題の多い県予算にたいし、日本共産党県議団は予算組み替え提案を提出しました。2001年から12年連続の提出です。

 お金の使い方を変えれば、県民の暮らし・福祉を充実させられることを証明するものです。

 おもな内容は、暮らし・福祉の施策を削る「県行革プラン」をストップし、切実な願いを実現する予算として、
 ▽子ども医療費は中学校3年生まで無料に(65億円)
 ▽障害者や母子医療費助成を回復(9億円)
 ▽小学5年まで少人数学級を拡大(7億円)
 ▽私立学校の補助や授業料軽減(1・2億円)
 ▽昨年削減された学童保育補助金の復活(0・5億円)
 ▽4月から大幅に引き上げられる介護保険料の軽減のために基金をさらに取り崩し、保険料軽減事業費を28億円増額。これで1人平均で年間672円程度の負担を減らすことができます。
 ▽国民健康保険料の軽減、後期高齢者医療保険料の軽減(5・7億円)
 ▽地震への備えとして、民間住宅や保育所、私立学校の耐震化対策の強化(2億円)。家庭向け太陽光発電補助の補助単価を倍に拡充するなど、自然再生エネルギーの普及促進をすすめます。
 ▽民間住宅リフォーム助成制度創設、住宅バリアフリー事業の拡充(3・4億円)
 …などです。

 それらの財源として、パナソニックなどへの大企業誘致立地補助金や不要不急の公共事業などを抜本的に見直して509億円を減らし、そこから生み出される一般財源90億円と、宝くじ益金5億円、さらに基金42億円など合計139億円をあてます。
 また、県債の発行額を抑制して新たな借金を271億円減らし、財政の健全化を図っています。

 共産党の組み換え提案に対し、「オール与党」各党は、「公共事業は必要不可欠」(自民)、「但馬空港の見直しが必要との思いはあるが、県行革プランの否定になる」(民主)、「撤退が続いているからこそ、積極的な企業誘致を」(公明)などと反対しました。

 知事提案の県予算は、自民、民主、公明、みんなの党、無所属が賛成し、成立。まさに「オール与党」です。共産党は反対しました。
 今回の議会で1年の議会一回り経験しました。それまでの議会でも他党派は何でも賛成してきたわけですが、来年度の県の姿勢を決める大事な予算です。上にあげたような問題のある予算なのに、どうして賛成できるのか、付託された声の代弁者と言えるのか・・・、情けなく思いました。

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