「がれきを見ると涙が止まらない。心の傷がずっと続いている」「がれきの山がなくならない限り、力が湧いてこない」という東北の被災者の声があるように、うず高く積み上げられたぼう大な災害廃棄物の存在が復興の障害になっていることは明らかです。
したがって、被災者と被災地の復興のためには、政府がこの問題の解決に責任を持ち、現地での処理能力を向上させることが必要です。同時に、全国の自治体が協力しあって廃棄物を受け入れて処理する広域処理も必要だと、日本共産党は考えています。
一方、放射能汚染された廃棄物をどうするか。この点では政府の対応は安全確保はとても十分とはいえません。高濃度の放射能汚染物質を全国の汚染していない場所に拡散させかねません。そんなことは絶対に許されません。だから全国各地で強い不安の声が上がっています。
ですから、国民の間では、「復興のために全国で廃棄物を引き受けるべきだ」という意見と、「放射能に汚染された廃棄物を全国で処理するのはよくないし危険だ」という意見に分かれています。両方とも正当です。
この2つの意見を両立させて解決をはかるため、県に対する要求と見解をまとめ、県に申し入れたものです。
ポイントを簡単に言うと、▽住民合意が何よりも大事で、それなしにすすめてはいけない▽通常の廃棄物と同程度かそれ以下の放射能レベルの廃棄物に限って受け入れ、焼却・埋め立ても通常の廃棄物と同程度以下の放射能レベルに――などです。
申し入れ書全文は以下の通りです。政府にたいする共産党の主張と合わせてご覧ください。
井戸敏三 兵庫県知事
2012年4月12日
日本共産党兵庫県会議員団
災害がれき(災害廃棄物)の広域処理に関する申入れ
東日本大震災による膨大な災害がれきが、震災から1年以上が経過したにもかかわらず、いまも山積みで処理が遅れています。これは、政府や東京電力が責任ある対応をしてこなかったことに根本原因があり、まず、政府が総力をあげ、責任をもった対応を行うこと、復興にむけて被災地における処理能力を抜本的に強化することが必要です。
同時に、被災地の現実と災害がれきの状況は、できるだけ早い災害がれきの処理が必要となっており、日本共産党は、住民の納得を得て、被災地以外の自治体でがれき処理を行う広域処理が必要と考えます。
広域処理について、住民や自治体から、「放射性物質が拡散するのではないか」「埋め立て処分場は将来も大丈夫か」などの不安が出されています。「安全神話」をつくった電力会社や政府の原子力行政への批判もあり、その不安は当然のことです。
国が一般廃棄物と同様に扱うとした8000ベクレル/キロ以下の基準は、昨年、原子力安全委員会が「当面の考え方」として、放射線物質管理の従来基準(100ベクレル/キロ)を80倍にも緩和したもので、到底認められるものではありません。関西広域連合と兵庫県が受け入れにあたって設定した2000ベクレル/キロの独自基準についても、住民の健康と安全を守る立場で、より抜本的な基準の見直しと対策が求められるものです。
日本共産党兵庫県会議員団は、この問題では、住民の納得と合意がなによりも重要であり、強行することは許されないと考えます。2月県議会で採択された意見書でも、「多くの住民や自治体は災害廃棄物の放射性物質による汚染に対して懸念」があり、「広域処理に対する国民の理解を得るため、国民に対する適切な情報提供や廃棄物処理施設周辺住民に対する丁寧な説明を行うこと」を、国に求めています。
よって、兵庫県として、当面、以下の取り組みをすすめることを、強く求めます。
記
1、県民向けの説明会を、早急に開くこと。市町にたいして、押しつけを行わず、市町自身が住民の納得をえて自主的にとりくむことを原則とすること。
2、受け入れる廃棄物は、通常の廃棄物と同程度の放射能レベル以下のものとなるようにすること。放射線は「低ければ低いほどよい」原則にたって、市町が独自基準を設けることを妨げないこと。
3.処理に関して、あらゆる段階で情報の公開を原則として、国の責任も明確にすること。
4.焼却灰の埋め立てについては、排水処理や、処分場としての安全性が確保されない限り、行わないこと。
5.行政だけでなく、有識者や住民も参加できる監視・チェックの体制をつくること。
6.セメントリサイクル事業については、災害がれきを含んだ焼却灰を使用しないこと。
以上
※2の「通常の廃棄物と同程度の放射能レベル以下のもの…」とは、埋め立てる焼却灰も含めて「県下の市・町で通常処理されている廃棄物と同程度の放射能レベル以下…」という意味です。
(上下とも)申し入れる党県議団。左端が私。 |
避難者です。共産党の立場を応援します。放射性物質のついたガレキを受け入れないで下さい。
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